
こんにちは!うさたんです♪
前回の記事では、JTが医薬事業を塩野義製薬へ承継した理由と、現在の加工食品事業の役割について確認しました。
医薬事業の承継後、JTグループの主な事業は、たばこと加工食品の2つになりました。なかでも、売上と利益の大部分を生み出しているのがたばこ事業🚬です。
JTといえば、高い配当金を受け取れる企業として多くの投資家から注目されています。2026年度の年間配当予想は、1株当たり272円です。
しかし、配当金は会社の利益や現金から支払われます。高い配当利回りだけを見て判断するのではなく、その配当を支えられるだけの利益と現金を生み出しているのかを確認することが大切です。
今回は、JTの売上や利益、キャッシュフロー、財務基盤、配当方針を確認し、高い配当をどのように支えているのかを考えていきます🐰
- JTの利益はどのように生み出されているのか
- 2025年度は売上と利益が過去最高
- 営業利益と当期利益の増加率が大きい理由
- 医薬事業は「非継続事業」として分けられている
- 2026年上期も増収増益
- 利益と現金は同じではない
- JTは大きな現金を生み出せる企業
- 生み出した現金をどこへ使うのか
- JTの配当方針
- 配当金は長期的に増えている
- 2025年度の配当性向が85%となった理由
- 2026年度の配当は272円を予想
- 「調整後の数字」をどう考えるか
- JTの財務基盤は強いのか
- 高配当を支えている3つの力
- 配当の持続性を考えるうえでの注意点
- 今後確認したいポイント
- おわりに
JTの利益はどのように生み出されているのか
企業の業績を見るときは、売上だけでなく、売上からどのように利益が残っていくのかを確認する必要があります。
JTの決算資料には、売上収益、調整後営業利益、営業利益、当期利益など、複数の利益が掲載されています。
それぞれの意味を簡単に整理すると、次のようになります。
| 項目 | 簡単な意味 |
|---|---|
| 売上収益 | 商品やサービスを販売して得た収入 |
| 調整後営業利益 | 一時的な損益を除き、本業の実力を確認しやすくした利益 |
| 営業利益 | 本業の利益に、一時的な損益などを加えて計算した利益 |
| 当期利益 | 金利、税金なども反映した最終的な利益 |
| EPS | 当期利益を1株当たりに換算した数字 |
EPSは「1株当たり利益」のことです。
例えば、会社全体で大きな利益を得ていても、発行している株式の数が多ければ、1株当たりの利益は小さくなります。そのため、配当金の負担を考えるときには、会社全体の当期利益だけでなく、EPSと1株当たり配当金を比べることも重要です。
基本的な利益の流れは、次のようになります。
- たばこや加工食品を販売して売上収益を得る
- 原材料費、人件費、物流費、広告費などを支払う
- 本業から調整後営業利益や営業利益を得る
- 金利や税金などを反映する
- 最終的に当期利益が残る
- 当期利益の一部を配当金として株主へ還元する
売上収益が増えていても、原材料費や投資額がそれ以上に増えれば、利益は減少します。
反対に、販売数量が大きく増えなくても、値上げや収益性の高い商品の販売拡大によって、利益を伸ばせることがあります。
前回までに確認したように、JTは紙巻たばこの値上げや販売シェアの拡大によって、大きな利益を生み出しています。
2025年度は売上と利益が過去最高
2025年度のJTは、売上収益、調整後営業利益、当期利益のいずれも過去最高となりました。
主な業績は次のとおりです。
| 項目 | 2025年度 | 前年度比 |
| 売上収益 | 3兆4,677億円 | +13.4% |
| 調整後営業利益 | 9,022億円 | +21.5% |
| 営業利益 | 8,670億円 | +175.9% |
| 当期利益 | 5,102億円 | +184.6% |
売上収益は、たばこ事業と加工食品事業の増収によって、前年度より13.4%増加しました。
調整後営業利益も21.5%増加しており、売上の伸び率を上回っています。これは、売上が増えただけでなく、利益を残す力も高まったことを意味します。
たばこ事業では、日本、フィリピン、ロシア、トルコ、英国などで値上げの効果が表れました。また、2024年に買収した米国のVector Groupも、2025年度の業績に貢献しています。
Vector Groupは、米国で紙巻たばこ事業などを展開していた企業です。JTは同社を買収することで、世界最大級のたばこ市場である米国の事業基盤を強化しました。
加工食品事業も増収増益となりましたが、JTグループ全体の利益成長を大きく支えたのは、引き続きたばこ事業です。
営業利益と当期利益の増加率が大きい理由
2025年度は、売上収益が13.4%増、調整後営業利益が21.5%増だったのに対し、営業利益は175.9%増、当期利益は184.6%増となりました。
これだけを見ると、本業の利益が前年の約3倍に増えたように見えるかもしれません。
しかし、営業利益や当期利益の増加率が大きくなった主な理由には、前年に大きな損失を計上していたことがあります。
2024年度、JTはカナダにおける喫煙と健康に関する訴訟を巡り、3,756億円の訴訟損失引当金を計上しました。
訴訟損失引当金とは、将来、訴訟の和解金や賠償金などの支払いが必要になる可能性に備え、あらかじめ損失として計上する金額です。
この損失によって2024年度の営業利益と当期利益が大きく減少していたため、2025年度は反動で増加率が大きく見えました。
したがって、2025年度の営業利益が175.9%増加したという数字だけで、通常の事業利益が約3倍になったと判断することはできません。
本業の成長を見る場合は、一時的な損益を除いた調整後営業利益もあわせて確認する必要があります。
調整後営業利益が21.5%増加しているため、本業自体も成長していることは確認できます。ただし、営業利益や当期利益の大幅な増加には、前年の一時的な損失の反動も含まれています。
医薬事業は「非継続事業」として分けられている
第三弾で確認したとおり、JTは2025年に医薬事業を塩野義製薬へ承継しました。
これに伴い、JTは2025年度第3四半期から、医薬事業を非継続事業に分類しています。
非継続事業とは、売却や事業承継などによって、今後はグループの中心的な事業として継続しない事業のことです。
反対に、今後も続けていくたばこ事業や加工食品事業は、継続事業と呼ばれます。
過去の数字と現在の数字を比べるとき、医薬事業を含む年と含まない年をそのまま比べると、実際の成長率が分かりにくくなります。
例えば、前年には医薬事業の売上が含まれているのに、当年には含まれていなければ、会社の既存事業が成長していても、売上が減ったように見える場合があります。
そのため、JTは比較しやすいように、2024年度と2025年度の売上収益や利益についても、医薬事業を除いた継続事業の数字へ組み替えて表示しています。
今後のJTを考えるときは、医薬事業を含めた過去の利益だけでなく、たばこと加工食品の2事業で、どのくらい利益を生み出せるのかを確認することが大切です。
2026年上期も増収増益
2026年1~6月期のJTは、前年同期と比べて増収増益となりました。
主な実績は次のとおりです。
| 項目 | 2026年1~6月期 | 前年同期比 |
| 売上収益 | 1兆9,861億円 | +17.7% |
| 営業利益 | 6,449億円 | +29.0% |
| 親会社の所有者に帰属する中間利益 | 4,318億円 | +35.0% |
| EPS | 243.24円 | ― |
売上収益は、約1兆9,861億円となりました。
たばこ事業では、紙巻たばこの値上げ、主力ブランドの成長、米国Vector Groupの貢献などが業績を押し上げました。為替の影響もありましたが、為替を前年と同じ条件にした数字でも事業の成長が確認されています。
2026年度の通期業績予想も上方修正され、親会社の所有者に帰属する当期利益は、従来予想の5,700億円から6,440億円へ引き上げられました。
年間配当予想も、当初の242円から272円へ30円増額されています。
上期の業績が好調で、通期予想と配当予想が同時に引き上げられたことは、株主にとって明るい内容です。
ただし、上期の好調が将来も続くとは限りません。紙巻たばこの値上げ効果、為替、販売数量、Ploomへの投資、訴訟費用などによって、今後の利益は変動します。
1回の好決算だけでなく、同じような利益成長を中長期的に続けられるかを確認する必要があります。
利益と現金は同じではない
配当金を考えるときには、当期利益だけでなく、キャッシュフローも重要です。
キャッシュフローとは、会社に入ってきた現金と、会社から出ていった現金の流れを表すものです。
会計上は利益が出ていても、売上代金をまだ受け取っていなかったり、多額の設備投資や借入金の返済が必要だったりすると、手元の現金が増えていない場合があります。
反対に、一時的な損失を計上して利益が減っていても、その時点では現金の支払いが発生していないこともあります。
キャッシュフローは、主に次の3つに分けられます。
| 種類 | 簡単な意味 |
| 営業キャッシュフロー | 本業から生み出した現金 |
| 投資キャッシュフロー | 設備投資や企業買収などに使った現金 |
| 財務キャッシュフロー | 借入れ、返済、配当などによる現金の動き |
配当金の土台として特に重要なのが、営業キャッシュフローです。
たばこや加工食品を販売することで、安定して現金を生み出せているかを確認できます。
そして、営業キャッシュフローから、設備投資などに使った現金を差し引いたものが、フリー・キャッシュ・フローです。
フリー・キャッシュ・フローとは、事業を続けるために必要な投資を行った後に、会社が比較的自由に使える現金のことです。
この現金は、Ploomへの成長投資、企業買収、借入金の返済、配当などに使われます。
JTは大きな現金を生み出せる企業
JTは、紙巻たばこを中心に、年間4,000億~5,000億円規模のフリー・キャッシュ・フローを安定的に生み出す力があると説明しています。
紙巻たばこ事業では、工場や販売網への投資は必要ですが、すでに世界各地で大きな事業基盤が整っています。
利用者が継続的に商品を購入することに加え、値上げを実施しやすいブランド力もあるため、販売数量が急増しなくても大きな現金を生み出せます。
この現金が、主に次の用途へ振り分けられています。
- Ploomを中心とするRRPへの投資
- 紙巻たばこ事業の維持と成長
- 加工食品事業への投資
- 企業買収
- 借入金や社債の返済
- 株主への配当金
- 訴訟やその他の支払いへの備え
2025年度のフリー・キャッシュ・フローは2,727億円でした。
JTが通常生み出すとしている4,000億~5,000億円より少なくなっていますが、これにはカナダ訴訟の和解金に関する頭金の支払いが含まれています。
つまり、2025年度のフリー・キャッシュ・フローが減少したのは、本業の現金を生み出す力がそのまま大きく低下したからではなく、訴訟に関する大きな支払いがあったことも影響しています。
ただし、一時的な支払いであっても、実際に現金が社外へ出ていくことに変わりはありません。
「一時的な要因だから気にしなくてよい」と考えるのではなく、今後も追加の支払いが発生するのか、通常のキャッシュフローへいつ戻るのかを確認する必要があります。
生み出した現金をどこへ使うのか
JTは、将来の利益成長につながる事業投資を、経営資源の配分における最優先事項としています。
配当金を最優先し、残った現金で事業へ投資するという順番ではありません。
まず、将来の成長に必要な投資を行います。そのうえで、財務基盤を維持しながら、事業投資と株主還元のバランスを取る方針です。
特に大きな投資先となるのが、Ploomを中心とするRRPです。
JTは2026年から2028年までの3年間で、RRPへ約8,000億円を投資する計画です。
現在の配当を支えながら、将来の利益を生み出す事業にも投資する必要があります。
紙巻たばこから得られる現金が減少した場合、配当を維持するためにPloomへの投資を減らすのか、借入れを増やすのか、配当金を見直すのかという難しい判断が必要になる可能性があります。
反対に、紙巻たばこの利益が安定し、Ploomが将来利益を出せる事業へ成長すれば、事業投資と配当の両方を続けやすくなります。
高い配当を長く続けるためにも、将来の利益を育てる投資は必要です。
JTの配当方針
JTは、株主還元について次の方針を示しています。
- 強固な財務基盤を維持する
- 中長期的な利益成長によって株主還元の向上を目指す
- 配当性向75%を目安とする
- 配当性向は、おおむねプラスマイナス5%の範囲で判断する
- 自社株買いは、財務状況や今後の資金需要を見ながら検討する
配当性向とは、会社が得た利益のうち、何%を配当金として株主へ支払ったのかを示す数字です。
例えば、1株当たり利益が100円で、1株当たり配当金が75円であれば、配当性向は75%です。
JTの目安である75%は、日本企業の中では高い水準です。
株主に多くの利益を還元する方針である一方、利益の約4分の3を配当へ振り向けるため、会社の中に残る利益は約4分の1になります。
そのため、利益が増えれば配当金を増やしやすくなりますが、利益が減少したときには、配当金の維持が難しくなる可能性もあります。
配当性向75%は「必ず前年以上の配当金を支払う」という約束ではありません。利益に応じて配当金が変化する可能性のある方針です。
配当金は長期的に増えている
JTの1株当たり年間配当金は、長期的には増加しています。
| 年度 | 年間配当金 |
| 2016年度 | 130円 |
| 2017年度 | 140円 |
| 2018年度 | 150円 |
| 2019年度 | 154円 |
| 2020年度 | 154円 |
| 2021年度 | 140円 |
| 2022年度 | 188円 |
| 2023年度 | 194円 |
| 2024年度 | 194円 |
| 2025年度 | 234円 |
| 2026年度予想 | 272円 |
2016年度の130円から、2026年度予想の272円まで増加しています。
約10年間で見ると、配当金は2倍を超える水準になりました。
一方、2021年度には、年間配当金が154円から140円へ減少しています。
JTは増配実績のある企業ですが、一度も減配したことがない企業ではありません。
2022年度以降は再び増配が続いており、2025年度には234円、2026年度予想では272円まで引き上げられています。
過去の増配実績はJTの魅力の一つです。しかし、過去に配当金が増えてきたからといって、将来も毎年必ず増配されるわけではありません。
今後も増配を続けるためには、1株当たり利益であるEPSと、事業から生み出す現金の両方が成長する必要があります。
2025年度の配当性向が85%となった理由
2025年度の年間配当金は、1株当たり234円でした。
JTが配当の計算に使用した調整後の利益に対する配当性向は85.0%となり、目安とする75%を上回りました。
これは、カナダ訴訟に関する影響や、スーダン子会社の清算に伴う一時的な損失などを調整した後の利益を基に計算したものです。
買収した事業の価値を今後十分に回収できないと判断した場合、のれん*1を損失として処理することがあります。
2025年度は、調整後の利益に対しても配当性向が通常の目安を上回りました。
JTは、財務基盤の強さや将来の利益成長に対する見通しを踏まえた判断であり、株主還元方針そのものを変更したわけではないと説明しています。
ただし、配当性向が目安を上回る状態を長期間続けると、成長投資や不測の事態に使える資金が少なくなります。
一時的に85%となったことだけで、すぐに配当が危険とは判断できませんが、今後は利益成長によって配当性向が通常の範囲へ戻るかを確認したいです。
2026年度の配当は272円を予想
2026年度の年間配当予想は、1株当たり272円です。
内訳は、中間配当136円、期末配当136円となっています。
当初予想の年間242円から30円引き上げられ、2025年度の234円と比べると38円の増配予想です。
JTは2026年度の配当性向について、カナダ訴訟の和解金支払いなどの影響を調整した後の当期利益6,420億円を基に、75.2%と予想しています。
| 項目 | 2026年度予想 |
| 年間配当金 | 272円 |
| 中間配当 | 136円 |
| 期末配当 | 136円 |
| 調整後の配当性向 | 75.2% |
| 配当性向の計算に使う調整後利益 | 6,420億円 |
配当性向75.2%は、JTが目安としている75%に近い水準です。
2025年度の85.0%から低下する見込みであり、利益の増加によって配当金の増額を支える形になっています。
ただし、ここで使われている6,420億円は、カナダ訴訟の和解金支払いなどの影響を調整した数字です。
実際の現金支出がなくなるわけではないため、配当性向だけでなく、キャッシュフローと財務基盤もあわせて確認する必要があります。
「調整後の数字」をどう考えるか
JTの決算では、調整後営業利益や調整後の当期利益、為替一定ベースなど、さまざまな調整後の数字が使われます。
調整後の数字は、一時的な出来事を除き、通常の事業がどのくらい利益を生み出しているのかを見るために役立ちます。
例えば、カナダ訴訟に関する大きな損失をそのまま含めると、その年だけ利益が急減し、本業の変化が分かりにくくなります。
また、円安が進むと、海外で得た利益を円に換算したときの金額が増えます。為替一定ベースは、為替レートを前年と同じ条件にして比べることで、海外事業そのものが成長したのかを確認しやすくした数字です。
一方、調整された項目について「業績とは関係がない」と考えるのは注意が必要です。
訴訟の和解金は、通常の販売活動から発生した費用ではありませんが、実際に現金の支払いが必要です。為替の影響も、海外利益を日本円で受け取るJTにとっては、最終的な業績へ影響します。
そのため、次のように両方を見ることが大切です。
- 調整後の数字で、本業の実力と成長を確認する
- 調整前の数字で、実際に発生した損益を確認する
- キャッシュフローで、現金がどれだけ残ったのかを確認する
- 為替一定ベースで、為替を除いた事業成長を確認する
どれか一つだけが正しい数字というわけではなく、それぞれ役割が異なります。
JTの財務基盤は強いのか
2025年末時点におけるJTの資本*2合計は、4兆1,154億円でした。
JTは世界130以上の国と地域で事業を展開しており、為替、規制、訴訟、地政学的な問題など、さまざまなリスクに備える必要があります。
また、Ploomへの大規模な投資や企業買収を進めるためにも、財務面の余力が必要です。
JTは、財務基盤について「堅牢性*3」と「柔軟性*4」の両方を重視しています。
現在のJTは、大きな利益とキャッシュフローを生み出せる企業ですが、配当以外にもPloomへの投資、訴訟の和解金、企業買収など、多額の資金を必要とします。
利益や資本の大きさだけでなく、借入金が急増していないか、フリー・キャッシュ・フローで配当や投資をまかなえているかを継続して確認したいです。
高配当を支えている3つの力
ここまでの内容を整理すると、JTの高い配当は、主に次の3つの力によって支えられています。
1.紙巻たばこの収益力
現在のJTの利益と現金を最も大きく支えているのは、紙巻たばこなどのCombustiblesです。
世界的に需要は減少していますが、値上げ、主力ブランドの成長、販売シェアの拡大によって、大きな利益を確保しています。
2.安定したキャッシュ創出力
JTは、通常時には年間4,000億~5,000億円規模のフリー・キャッシュ・フローを生み出す力があるとしています。
会計上の利益だけでなく、実際に現金を生み出せることが、配当を支える重要な土台です。
3.明確な株主還元方針
JTは、配当性向75%を目安とする方針を明確に示しています。
利益が成長すれば、その一部が配当金の増加につながりやすい仕組みです。
一方、利益の多くを配当に回すため、本業の利益が減少した場合には配当への影響も大きくなりやすい点には注意が必要です。
配当の持続性を考えるうえでの注意点
現在のJTには、高い配当を支える利益と現金があります。
しかし、将来も必ず同じように配当を続けられるとは限りません。
特に、次のような点に注意が必要です。
- 世界的な紙巻たばこの需要減少
- 値上げ後の販売数量や販売シェアの低下
- Ploomへの投資負担
- RRP事業の黒字化が遅れる可能性
- 円高による海外利益の円換算額の減少
- カナダなどにおける訴訟費用
- 各国のたばこ規制や増税
- 企業買収による借入金の増加
- 原材料費、物流費、人件費の上昇
- 配当性向が高い状態の長期化
なかでも重要なのは、紙巻たばこで生み出す現金と、Ploomに必要な投資のバランスです。
JTは、現在の主力事業から得た現金を使い、将来の利益の柱を育てています。
Ploomが成長し、投資段階から利益を生み出す段階へ移れば、配当を支える力も強くなる可能性があります。
一方、Ploomへの投資が増え続けても利益につながらなければ、フリー・キャッシュ・フローを圧迫します。
紙巻たばこの利益が安定している間に、RRPを第二の利益の柱へ育てられるかが、配当の持続性を考えるうえでも重要です。
今後確認したいポイント
今後の決算では、次のような点を確認したいです。
- 売上収益と調整後営業利益が継続して増えているか
- 為替一定ベースでも利益が成長しているか
- 紙巻たばこの値上げ効果が続いているか
- 値上げ後も販売数量や市場シェアを維持できているか
- Ploomへの投資が売上と利益につながっているか
- 営業キャッシュフローを安定して生み出しているか
- フリー・キャッシュ・フローが通常の水準へ戻るか
- 配当金がEPSや現金の成長によって支えられているか
- 配当性向が75%前後で推移しているか
- 借入金や社債が過度に増えていないか
- 訴訟に関する追加負担が発生していないか
配当金が増えたという結果だけでなく、その配当を支える利益や現金も一緒に増えているかを確認することが大切です。
利益が増えず、借入れや手元資金の取り崩しによって配当を維持している場合は、長期的に続けることが難しくなります。
反対に、本業の利益とキャッシュフローが成長し、その成長に合わせて配当金が増えているのであれば、増配の土台も強くなります。
おわりに
本記事をご覧いただき、ありがとうございました🐰
今回は、JTの業績や財務、キャッシュフロー、配当方針を確認しました。
2025年度は、売上収益が3兆4,677億円、調整後営業利益が9,022億円、当期利益が5,102億円となり、いずれも過去最高を記録しました。
2026年1~6月期も増収増益となり、通期の当期利益予想は6,440億円へ、年間配当予想は272円へ引き上げられています。
現在のJTの高い配当を支えているのは、紙巻たばこの収益力、安定したキャッシュ創出力、配当性向75%を目安とする株主還元方針です。
一方、2024年度のカナダ訴訟による損失、2025年度の和解金の支払い、医薬事業の非継続事業への分類など、一時的な要因によって数字が大きく動いています。
そのため、当期利益だけを見るのではなく、調整後営業利益、為替一定ベースの利益、営業キャッシュフロー、フリー・キャッシュ・フローなどを組み合わせて確認する必要があります。
私は配当金の大きさだけでなく、その配当を支える利益と現金が無理なく生み出されているかを確認することが大切だと思います。
過去に増配を続けてきた企業であっても、将来の増配が約束されているわけではありません。JTについても、紙巻たばこの利益を維持しながら、Ploomを将来の利益の柱へ育てられるのかを見ていきたいです。
次回は、JTの現在の株価水準や配当利回り、過去の株価チャートを確認し、業績が好調な今のJT株をどのように考えるのか、私なりの投資目線で詳しく見ていきます🐰
本記事は以上です♪
本記事をご覧いただき、ありがとうございました!