
こんにちは!うさたんです♪
今回は、2026年4月17日に三菱HCキャピタルが発表した「2026~2028年度 中期経営計画(2028中計)」について、見ていきたいと思います🐰
リース会社というと、安定している一方で大きな成長はゆっくり、というイメージを持つ方も多いかもしれません。実際に、景気の影響を受けにくく、コツコツと利益を積み上げていくビジネスモデルが中心です。
ただ今回の中計を見てみると、その印象が少し変わってきます。これまで積み上げてきた土台の上で、「収益性」や「資本効率」といった、より本質的な部分に踏み込んできており、企業として一段階成長しようとしているように感じました。
実際に、過去の中計では利益の拡大には成功している一方で、ROEやROAといった効率性の指標には課題が残っていました。今回の中計は、そうした課題に正面から向き合い、「より効率よく稼ぐ企業」へと変わるための重要なステップになっています。
本記事では、そのポイントを一つずつ整理しながら、「今後どのような成長が期待できるのか」という視点で見ていきたいと思います🐰✨
- 今回の中計の位置づけ|「量から質へ」の転換点
- 数値目標|ROE10%が意味するものとは
- 事業戦略①|ビジネスモデルの進化
- 事業戦略②|ポートフォリオの入れ替え
- 成長ドライバーと株主還元|専門事業と安定配当の両立
- おわりに
今回の中計の位置づけ|「量から質へ」の転換点
三菱HCキャピタルは、2021年に三菱UFJリースと日立キャピタルの統合によって誕生しました。その後の中計では、事業の再構築や新しい分野への投資を進めることで、企業としての土台を整えてきました。いわばこれまでは、「足場を固める期間」だったと言えそうです。実際に、その取り組みの成果として、純利益は順調に伸びており、過去最高益の更新が見込まれています。
一方で、すべてが順調だったわけではありません。ROEやROAといった「資本をどれだけ効率よく使って利益を生み出せているか」を示す指標については、当初の目標に届かない見込みとなっています。つまり、「利益は増えているけれど、その効率にはまだ改善の余地がある」という状態です。
こうした背景を踏まえて、今回の中計ではこれまでの延長ではなく、一段階ステージを進めた戦略が取られています。
ポイントを整理すると、次のようになります。
- 利益の拡大から、収益性の向上へ
- 資産の積み上げから、資本効率の改善へ
- 量の成長から、質の成長へ
このように、「どれだけ稼ぐか」だけでなく、「どれだけ効率よく稼ぐか」に軸足を移している点が大きな特徴です。さらに今回の中計は、2031年度に掲げている「ありたい姿」を実現するための重要な通過点として位置づけられています。
この「ありたい姿」では、事業・財務・デジタル・人財といった複数の要素を組み合わせながら、持続的に企業価値を高めていくことが目標とされています。その中でも今回の中計は、「収益性を高め、企業価値向上を加速させるフェーズ」と明確に位置づけられています。
このように考えると、今回の中計は単なる3年間の計画ではなく、「企業の質が変わるタイミング」を示している、とても重要な内容だと感じました🐰
数値目標|ROE10%が意味するものとは
今回の中期経営計画の中で、最も重要なキーワードの一つが「ROE」です。これまでの中計では、利益の拡大が中心となっていましたが、今回はそれに加えて「資本効率」を強く意識した目標設定になっています。
具体的な数値としては、ROE10%、ROA1.7%、純利益2,100億円が掲げられています。さらに配当についても、配当性向45%以上という方針が示されており、株主還元の強化も同時に進めていく計画です。
この中でも特に注目したいのが、ROE10%という水準です。会社側はこの水準を「株主資本コストと同程度」と認識しており、まずは投資家が期待する最低限のリターンを安定的に上回る企業を目指す、という意味合いがあります。
ここがこれまでとの大きな違いで、単に利益を増やすだけではなく、「投資した資本に対してどれだけ効率よく利益を生み出せているか」を重視している点が印象的です。つまり、同じ1,000億円を稼ぐとしても、より少ない資本で達成できる企業の方が評価されるという考え方にシフトしています。
また、このROE10%はゴールではなく通過点とされています。中長期的にはROE12%程度の水準も視野に入れており、段階的に収益性を高めていくシナリオが描かれています。こうした目標設定からは、無理に背伸びをするのではなく、着実に企業価値を積み上げていく姿勢が感じられます。
さらにROEの改善は、単独で達成されるものではなく、ROAの向上や財務レバレッジの最適化といった複数の要素によって実現されるとされています。つまり、事業の収益力そのものを高めながら、資本の使い方も見直していく必要があるということです。
このように見ていくと、今回の数値目標は単なる「達成すべき数字」ではなく、「どのような企業を目指すのか」という方向性そのものを示しているように感じます。規模の拡大よりも質の向上を重視する姿勢がはっきりと表れており、今後の経営の変化を考えるうえで非常に重要なポイントだと思いました🐰
事業戦略①|ビジネスモデルの進化
今回の中期経営計画の中で、企業の変化を最も感じやすいポイントが「ビジネスモデルの進化」です。これまでの三菱HCキャピタルは、リースやファイナンスを中心とした比較的シンプルな収益構造が主軸でしたが、今後はその枠を大きく広げていこうとしています。
従来のビジネスは、モノを貸して金利収入を得る、あるいは資金を提供して利息を得るといった「ファイナンス中心」のモデルでした。このモデルは安定性がある一方で、収益性の面ではどうしても限界があり、ROAやROEの伸び悩みの一因にもなっていました。
そこで今回の中計では、「ビジネスモデルの進化・積層化2.0」という考え方を掲げています。これは、従来のファイナンスに加えて、サービスや事業そのものを組み合わせることで、より付加価値の高い収益構造へと転換していく戦略です。
具体的には、従来のファイナンス中心のビジネスだけでなく、「サービス+ファイナンス」や、それ以外の多様なビジネスへと広げていく方針が示されています。一般的に、こうした付加価値の高いビジネスほど収益性が高くなる傾向があり、結果としてROAの改善にもつながると考えられています。
また今回の中計では、「アセットのライフステージ」という新しい視点も取り入れられています。これは、一つの資産を単に保有・運用するだけでなく、その生まれてから役目を終えるまでの一連の流れ全体で価値を生み出していこうという考え方です。
具体的には、アセットの流れを次のように捉えています。
- つくる(開発・投資)
- つかう(運用・サービス提供)
- つぎに繋げる(売却・再利用)
これまでは「つかう」の部分、つまりリースやファイナンスが中心でしたが、今後は「つくる」や「つぎに繋げる」といった領域にも積極的に関わることで、収益機会を広げていきます。
この変化はとても大きく、単なる金融会社から、事業そのものに関与する「事業投資型の企業」へと進化していく流れとも言えそうです。実際に再生可能エネルギーや不動産、航空といった分野では、すでにそのような動きが進んでいます。
こうした取り組みによって、収益の柱が増え、景気や金利の影響を受けにくい体質へと変わっていくことも期待されます。結果として、安定性と成長性の両方をバランスよく高めていく狙いがあると感じました。
このように、ビジネスモデルの進化は単なる新規事業の追加ではなく、「会社の稼ぎ方そのものを変える」取り組みです。今後のROE改善や企業価値向上を考えるうえで、非常に重要なポイントだと感じました。
事業戦略②|ポートフォリオの入れ替え
今回の中期経営計画の中でも、特にインパクトが大きいのが「事業ポートフォリオの入れ替え」です。これは一言でいうと、収益性の低い分野を減らし、収益性の高い分野へ資源を振り向けていくという取り組みです。
これまでのリース会社は、資産を積み上げて規模を拡大することで利益を伸ばしていく傾向がありました。ただこのやり方では、どうしても収益性が伸びにくく、資本効率の改善にも限界が出てきます。
そこで今回の中計では、単純に規模を拡大するのではなく、「どの分野で稼ぐのか」を明確にし、よりメリハリのある経営へと舵を切っています。
具体的には、次のような大きな動きが計画されています。
【ポートフォリオ戦略のポイント】
- 低収益分野からの撤退:約▲1.5兆円規模
- 高収益分野への投資:約+1.0兆円規模
- 既存事業の見直しと再投資も同時に実施
ここで重要なのは、「資産を減らす」という判断をしっかり行っている点です。一般的には、企業は規模を拡大する方向に進みがちですが、三菱HCキャピタルはあえて低収益の資産を手放すことで、全体の収益性を引き上げようとしています。
さらに、既存事業についてもただ維持するのではなく、資産の圧縮と成長投資を組み合わせることで、より効率的な形へと変えていく方針です。つまり、「残す事業も磨く」という考え方が徹底されています。
また、この取り組みの特徴として、「総資産の拡大を抑える」という点も挙げられます。規模を大きくするのではなく、質を高めることで利益を伸ばしていくという姿勢が明確に表れています。
こうした戦略は、ROAやROEの改善にも直結しやすく、今回の中計で掲げられている「資本効率の向上」というテーマとも非常に相性が良いと感じます。
このようにポートフォリオの入れ替えは、単なる事業整理ではなく、「どこで利益を生み出すのか」を再定義する重要な取り組みです。今後の成長の質を大きく左右するポイントとして、しっかり注目していきたいと感じました。
成長ドライバーと株主還元|専門事業と安定配当の両立
ここまで見てきた戦略を実際に支えていくのが、専門事業と株主還元のバランスです。今回の中計では、「成長」と「配当」の両立が意識されている点が特徴的だと感じました。
まず成長の中心となるのが専門事業です。航空、不動産、環境エネルギー、ロジスティクスといった分野に注力しており、これらはアセットの価値を活かして収益を生み出す、比較的収益性の高いビジネスとなっています。実際に専門事業の利益は、1,000億円から1,328億円へと伸びる計画となっており、全体の成長を牽引する存在とされています。
一方で、配当についても明確な方針が示されています。配当性向は45%以上とされており、利益成長とあわせて株主還元も強化していく考えです。
さらに財務面では、自己資本比率を16~18%の範囲でコントロールしつつ、信用格付(A格)を維持する方針となっており、無理な成長ではなく安定性も重視されています。
このように見ていくと、三菱HCキャピタルは「成長投資」「財務の安定」「株主還元」という3つをバランスよく組み合わせながら、企業価値を高めていこうとしていることが分かります。特に配当を重視する投資家にとっては、安心して長期で見守りやすい設計だと感じました🐰
おわりに
本記事をご覧いただき、ありがとうございました🐰
今回の三菱HCキャピタルの中期経営計画を通して感じたのは、「着実に進化していく企業」という印象でした。
これまでの中計で土台を整えたうえで、今回は収益性や資本効率といった「質」の部分にしっかりと踏み込んできています。ビジネスモデルの進化や事業ポートフォリオの入れ替えを進めながら、より効率よく利益を生み出す体質へと変わろうとしている流れが感じられました。
また、専門事業への投資によって成長を目指しつつ、配当性向45%以上という方針を掲げている点も印象的です。成長と株主還元のどちらかに偏るのではなく、両立を目指している点は、長期投資の視点でも安心感があると感じました。
ゆっくりと育つ苗木のように、少しずつ成長していく姿を楽しみながら、今後の取り組みを追っていきたいと思います。
本記事が、数多くある投資判断の一つとして参考になれば嬉しいです🐰✨
本記事は以上です♪
本記事をご覧いただき、ありがとうございました!